削ぎ、落とす

絵を生活の中心に持って来る。その他を、必要なものと不必要なものとに分ける。

物について、あまり執着心がなく、うきうきと集めたあれやこれやもまぁ別段、必要でもない。という事がよく解る。物欲はある程度抑制のきくものだ。目に映さなければいいし、何も聞かなきゃいい。それでもこじ開けて入ってくる物だけを手に入れたらいいし。手に入れられなければ忘れたらいい。

身体について、不必要な部分が多いなと思う。削ぎ落としていい部分が結構あると。無駄な肉は役に立たない。美しくない。重たい。

時間に於いて、段々に考えるより他ない。案外、暇はないものだ。眠たい時は勿体なかろうと眠らねば動けない。

人間について、友人は損得の関係であると思う。得る部分があれば付き合う。なければ疎遠になる。考えが変われば回りの人間も変わる。冷たいようだけれど、出会ってからの時間だけで構築される関係はそんなに意味があるとは思い難い。得るものといって、そんなたいそうな事でなく「こいつすげえ」とかその程度。それを維持し続けるキャラクターの某彼女は「こいつすげえ」のだ。四六時中一緒にいたくはないけれど。こちらもそう思われなければいけないというリスクはある。馴れ合いと昔話はもういいんじゃないのと思う。
親はもちろん生きられる限りはいて欲しいとは思うけれど、先に死ぬだろう。
同居人には是非、少なくとも友人では居続けて欲しいなと思う。作家として興味があるし、面白い生き物であるから。
恋人については、未だにもうそろそろ三十路かっていう歳になっても一向に解らない。友人との違いもそんなに解らない。多少は解るけどな。

繋がりについて、削ぎ落とす所が見当たらない程に繋がりが貧困。絵描きの人や音楽の人や文章の人やとにかく気になる人にひっそりとした想いを伝えるべきだろうねと、ひしひしと思う。人脈ってどうやって作るんだろう?努力か?人間を好きになる事か?才能じゃないの?とちらりと思って、才能で色々なあれこれをまとめる人間を軽蔑していたと思い出す。安易な結論ばかりでやっつけてはいけない。特に重要と思える事は。



門番(猫)