逃げろ

近所に千本日活という日活ポルノを見せる映画館がある。この間通りかかったら、爽やかに迷いなく入口に向かうおじさんを見た。無駄に爽やかだ。晴れていて、おじいさんと孫らしきがキャッチボールをしていて、毒々しい色使いの裸体の女のポスターがあり、やはり無駄に爽やか。


ちくちくと描き進めた絵が完成した。怨念がこもっている割に爽やか。だと私は思った。完成に向かう道は「いい。最高。」と思っておく。もう手を離れたから当分見なくていい。春はろくでもない事しか考えない。桜の木の下に死体が埋まっていたらさぞ安心できるだろう。墓石の下よりよほど情緒がある。


彼氏とか彼女とかいう言葉を自分に使われる事が嫌いなので、それじゃ何と言うのか言われて、恋人でいいじゃんと言ったら恥ずかしくない?と言われた。色々な彼女達に。恋人は恥ずかしいのか?そんな恥ずかしい恋人ですが、実像より空想の方が優しい気持ちになれる。恋人はより会わない方が優しくできる。私は非常に優しいのだ、本当は。目の前にいない人物に対しては非常に優しくできる。親にしても遠くにいるから、優しくできる。たまに帰って仲良くしても一緒に暮らす事はない。病気になったり呆けたりしたら、世話をするのだろうか?当然だと思っていたけれど、それが10年20年と続く事まで考えた事はない。捨てちゃおうと思わないだろうか。あっさり死んでくれたらと思わないか。オムツの世話だってしなきゃいけないし、自分の母親と父親の体型を考えただけで溜息がでる。妄想と幻聴を毎日聞く事に耐えられるか、その辺りは平気かもしれない。親の為だけに生きなきゃいけなくなる。できるか?そこに何の不満も持ち込まない事なんて出来ないんじゃないか?

話が酷くずれましたが、最近不機嫌ですみません、恋人よ。という事です。目の前にいない時は優しい気持ちでいるんですよ。