痛い痛い遺体

もたもたしていると勿体ないと思うので、もたもたする事をやめようと思いつつ、周囲に目配せして、しきりに振り返り振り返り振り回されて目が回るのも嫌なので、目を瞑りたくなってしまったときは遠慮せず目を瞑ろうと思う。
殺意を抱くという事が似合う顔だとか言う事を言われて、何でもかんでも顔かね?と思うのと同時に、どうしてばれたのかしらと思ったりもするので、今日の朝出かけるのに事細かに同居人を粉砕する事を思い描いていたら、エレベータのドアーの間に蛾がぱたぱたしていて「あんなにちっちゃいのに生きている、あいつ」と思って。そりゃ当たり前なのかもしれないけれど、あんなに薄っぺらい羽をくっ付けて10ミリ程度の身体で摘んだら落ちてしまいそうな足で、生きているって…と思って呆然とする。蛾の生きているのと私の生きているのは同等で、蛾の生きているのと鯨の生きているのもまた同等な事を、よくもまぁすんなりと理解出来るもんだわと思う。少なくともそう簡単に飲み込める問題じゃないんじゃなかしら?と思って。どきどきする。