喉の卵

案外、エロくもグロくもない絵を描くと思う。内臓がはみ出ていたり、血を流していたりもしないし、性器が露になっているところも、性行為をしているところも描かない。人の腹黒さや普通に潜む悪みたいなものも描かない。大体無表情で口を開いていてもそれは食べる為である事が多く、喜怒哀楽を示すものである事は少ない。で、今ちょうど描いている男の子のズボンをはかせるべきか履かせないべきか非常に迷う。何を迷っているかというと、写真なり実物なりがそこにないから描いた所で中途半端になりそうだけれども、どう考えても奴はパンツを履いていないという確信があるという事で、けれどもちょうどその年頃の人間をさらってきては犯罪であるし、写真に撮る事も場合によっちゃ犯罪な訳で、頼める知合いもいない。だから、これ以上描き進む事がむつかしい。

今日一日ゴボゴボと嫌な咳が出るのでマスクをしていたのだが、咳をする度にあまりに「大丈夫か、大丈夫か」と聞かれるので気を遣って咳もおちおちしてらんねーなと思って、トイレに行くふりをしてはゴボゴボと盛大に咳をして歩いていた。気遣いと優しさにより潰されると思った一日。